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八重桜(やえざくら)

分類】初番目物(脇能)

【作者】不詳

【主人公】前シテ:宮守ノ翁(面・小尉)、後シテ:水谷神(面・大天神)

【あらすじ】(連吟の部分は下線部です。)

のどかな春のある日、都の天皇に仕える臣下が、奈良の春日大社に参詣します。境内には、八重桜を仰ぎ愛でている老人が一人、立ち去る気配はありません。臣下がそのわけを尋ねると、これが古人が「いにしえの 奈良の都の 八重桜 今日九重に 匂いぬるかな」という歌に詠んだ八重桜であると言い、春日大社の起こりについて詳しく語り始めます。そして我こそ水谷〔みずや〕神社の神の化身であることをほのめかして姿を消します。

<中入>

その夜のこと、臣下がゆめうつつの状態でいると、水谷の神様が現れます。八重桜が咲き誇るなかで、平穏に栄える世を寿ぐのでした。

【詞章】  (連吟の部分の抜粋です。)

誰殊更時も相に逢。春の気色も一入に。匂い満ちくる桜木の。花の盛りは面白や。げに面白き桜木の。花も色そう春日野の。三笠の森の草も木も。枝をならさぬ。時津風。吹きおさまれる御代なれば。国富み民も豊かに。万歳を呼ばう三笠山。千秋の春の日の。曇らぬ御代ぞ久しき。曇らぬ御代ぞ.久しき。  

 

 

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