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草紙洗小町(そうしあらいこまち)

【分類】三番目物 (鬘物)

【作者】不詳

【主人公】前シテ:小野小町、後シテ:小野小町

【あらすじ】(舞囃子の部分は下線部です。仕舞の部分は斜体です。)

宮中での御歌合せの会に、大伴黒主の相手は、小野小町に定められました。黒主は、とうてい詠歌では勝てそうにないので、一策を案じます。そして供をつれて、その前夜、小町の私宅に忍び入り、小町が明日吟ずる歌を口ずさむのを盗み聞き、それを万葉の草紙に書き入れておきます。

<中入>

翌日、清涼殿の御歌会には、帝をはじめ、紀貫之や男女の歌人が居並びます。いよいよ小町の歌が披露されると、黒主はその歌は、万葉の古歌であると抗議し、その証拠にと、ひそかにその歌を書き入れた草紙を示します。小町は、万葉の歌をことごとく知っているので、そんな筈はないと思いますが、帝の御前を憚り、争うことが出来ず、悩み悲しみます。そして、せめて黒主の出した草子を洗わせてほしいと、貫之を通じて願い出ます。帝の許しをえて洗ってみると、書き入れた一首だけが消え失せ、入れ筆であることが露見し、小町の正しさが明らかになります。黒主は非を恥じて白害しようとしますが、小町の取りなしで、帝も許され、小町はすすめられて、御祝を祝い、和歌の徳を讃えた舞をまいます。

【詞章】(舞囃子の部分の抜粋です。仕舞の部分は下線部です。)

春来ては。あまねくこれ桃花の水。石にさわりて。遅く来たれり。手まずさえぎる。花の一枝。桃色の衣や。重ぬらん。霞たつ。

<中ノ舞>

霞たてば。遠山になる。朝ぼらけ。日影に見ゆる。松は千代まで。松は千代まで。四海の波も。四方の国々も。民の戸ざしも。ささぬ御代こそ。堯舜の佳例なれ。大和歌の起りは。あらかねの土にして。素盞鳴の尊の。守り給える神国なれば。花の都の。春ものどかに。花の都の。春ものどかに。和歌の道こそ。めでたけれ。

 

 

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