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殺生石せっしょうせき

【分類】五番目物 (切能)

【作者】日吉左阿弥

【主人公】前シテ:里女、後シテ:野干の精

【あらすじ】(仕舞の部分は下線部です。)

玄翁という高僧が、能力と奥州から都へ上る途中、下野国(栃木県)那須野の原へさしかかります。空を飛ぶ鳥が、とある石の上を飛ぶと落ちるので、不審に思って見ていると、一人の里の女が現れ、その石は殺生石といい、人畜を害する恐ろしい石だから、近寄らないようにと注意します。玄翁がその由来を尋ねると、女は次のような話をします。昔、鳥羽院につかえていた玉藻ノ前は、才色兼備の女性で、帝もお気に入りであったが、実は化生の者であった。帝を悩ませようと近づいたが、その正体を見破られたのでこの野に逃げたが、殺されたため、その魂が殺生石になったのだと詳しく語ります。そして、実は白分はその石の魂であるとあかし、夜になれば懺悔のため姿を現すと言い残して、石の中に隠れます。

<中入>

玄翁が石に向かって仏事をなし、引導を与えると、石は二つに割れ、中から野干(狐)が現れます。野干は、天竺(インド)では斑足太子の塚の神、大唐(中国)では幽王の后褒姒となって世を乱し、日本へ渡り、この国をも滅ぼそうと玉藻ノ前という美女に変じて宮廷に上ったが、安倍泰成の祈祷で都を追われ、その後、この野に隠れ住んだが、狩り出されて遂には射殺され、その執心が殺生石となっていたのでした。しかし、野干(狐)は、今、あなたの供養を受けたので、以後、悪事はしないと誓って消え失せます。

 

【詞章】(仕舞の部分の抜粋です。)

両介は狩装束にて。両介は狩装束にて数万騎那須野を取り込めて.草をわかって狩りけるに。身を何と那須野の原に。現れ出ずるを狩人の。追っつまくっつさくりにつけて。矢の下に射っ伏せられて。即時に命をいたずらに.那須野の原の露と消えても.なほ執心は。この野に残って。殺生石となって。人を取る事多年なれども.今会いがたき御法を受けて。この後悪事をいたす事.あるべからずと御僧に。約束固き石となって。約束固き.石となって。鬼神の姿は.失せにけり。

 

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