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翁(おきな)

【作者】不詳

【登場人物】シテ:、狂言:千歳、狂言:三番叟

【概要】

 「翁は能にして能にあらず」と言われています。演劇性を持たない、天下泰平、国土安全、五穀豊穣を祈願する儀式としての舞のみの能です。翁、千歳、三番叟の3人がそれぞれ別に舞を舞います。颯爽たる千歳の舞、荘重な翁の舞と続き、その後、翁は退場し、千歳と三番叟の問答の後、三番叟が「揉之段」と「鈴之段」という2つの力強い舞を舞います。(素謡は、シテが退場するところまでです。)

【詞章】

シテ どうどうたらりたらりら。たらりららりららりどう。

地謡 ちりやたらりたらりら。たらりららりららりどう。

シテ 所千代までおわしませ。

地謡 われらも千秋さむらおう。

シテ 鶴と亀との齢にて。

地謡 幸ひ心にまかせたり。

シテ どうどうたらりたらりら。

地謡 ちりやたらりたらりら。たらりららりららりどう。

千才 鳴るは瀧の水。鳴るは瀧の水。日は照るとも。

地謡 たえずとうたり。ありうどうどう。

千才 たえずとうたり。たえずとうたり。

 

<千才舞>

 

千才 所千代までおはしませ。われらも千秋さむらおう。鳴るは瀧の水。

     日は照るとも。

地謡 たえずとうたり。ありうどうどう。

 

<千才舞>

 

シテ あげまきやとんどや。

地謡 よばかりやとんどや。

シテ ざしていたれども。

地謡 まいろうれんげじや。とんどや。

シテ 千早ふる。神のひこさの昔より。ひさしかれとぞよわい。

地謡 そよやりちや。とんどや。
シテ 千年の鶴は。万才楽と歌うたり。又万代の池の亀は。甲に三極を備えたり。

   天下泰平国土安穏。今日のご祈祷なり。ありわらや。なじょの翁ども。

地謡 あれはなじょの翁ども。そやいづくの。翁ども。
シテ そよや。

 

<翁舞>

 

シテ 千秋万才の。喜びの舞なれば。一舞まおう万才楽。

地謡 万才楽。

シテ 万才楽。

地謡 万才楽。

 

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