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国栖くず

【分類】五番目物 (切能)

【作者】不明

【主人公】前シテ:老翁、後シテ:蔵王権現

【あらすじ】(仕舞の部分は下線部です。)

宮中で争いがあり、大友皇子に追われ、都を出た清見原天皇(大海人皇子)は、供の者に守られて吉野の山中、国栖まで逃げてこられます。川舟に乗って帰って来た老人夫婦は、我が家の方に星が輝き、紫雲のたなびいているのを見て、高貴な人のおいでになることを知ります。侍臣は老人に清見原天皇であることをあかし、何か召上がり物を差し上げてくれと頼みます。夫婦は根芹と国栖魚(鮎)を献上します。供御の残りを賜わった老翁は、吉凶を占うべく、国栖魚を川に放ちます。すると、不思議にも国栖魚が生き返ったので、天皇がやがて都へお帰りになる吉兆だと喜びます。そこへ追手が迫りますが、夫婦は岸に干してある舟の下へ天皇を隠し、敵をあざむいて追い返します。天皇は老人夫婦の忠節に感謝し、身の拙さを嘆かれるので、夫婦も涙にむせびます。やがて、夜もふけ静まり、夫婦は何として御心を慰めようと思ううちに、妙なる音楽が聞こえ、老人夫婦の姿は消え失せます。かわりに天女が現れ、舞を舞い、次いで蔵王権現も出現し、激しく虚空を飛びめぐって、天皇を守護することを約し、御代を祝福します。

 

【詞章】(仕舞の部分の抜粋です。)

すなわち姿を現わして。すなわち姿を現わし給いて。天をさす手は。胎蔵。地をまたさすは。金剛宝石の上に立って。一足をひっさげ。東西南北十方世界の虚空に飛行して。普天の下率土の内に。王威をいかでか軽んぜんと。大勢力の力を出だし。国土を改め治むる御代の。天武の聖代かしこき恵み。新たなりける。奇瑞かな。

 

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