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小袖曽我(こそでそが)

【分類】四番目物 (雑能)

【作者】不詳

【主人公】シテ:曽我十郎祐成

【あらすじ】(舞囃子の部分は下線部です。仕舞の部分は斜体です)

曽我十郎と五郎の兄弟は、源頼朝が富士の裾野で巻狩を行うので、この機会に親の敵工藤祐経を討とうと決心します。そうして、それとなく暇乞いをするため、また、五郎の勘当の許しも得ておこうと、母のもとを訪れます。まず、十郎が案内を求めると、母は喜んで迎え入れますが、五郎には出家になれという母の命にそむいたというので怒って会おうとしません。十郎はこのたび兄弟そろって御狩に出ようとしたのに、弟を許してくださらないのは、私の身をも思ってくださらないことになるのです。また、五郎は箱根にいた間母上のことを思い、亡き父の回向に心を尽くしていたのですと、いろいろと弟のためにとりなし、母に怨みを述べて、弟と共に立ち去ろうとします。すると兄弟の心が通じ、母もようやく五郎の勘当を許します。二人は喜びの酒を酌み交わし、共に立って舞い、これが親子最後の対面かと名残もつきませんが、狩場に遅れてはならぬと、母に別れのあいさつをして、勇んで出立します。

 

【詞章】(舞囃子の部分の抜粋です。仕舞の部分は下線部です。)

このほど時致が。このほど時致が。尽す心に引きかえて。今はいつしか思い子の。母の情ありがたや。あまりの嬉しさに祐成。お酌に立ちてとりどり。時致とともに.祝言を。謡うこえ。高き名を雲居にあげて富士の嶺の。雪をめぐらす。舞のかざし。(いかに面面一さし舞い候え。畏って候。雪をめぐらす。舞のかざし。)

<男舞>

舞のかざしのその隙に。舞のかざしのその隙に。兄弟目をひき。これや限りの親子の契りと。思えば涙も尽きせぬ名残。牡鹿の狩場に遅参やあらんと。暇申して帰る山の。富士野の御狩の折を得て。年来の敵。本望を遂げんと。互に思う瞋恚の焔。胸の煙を富士おろしに。晴らして月を清見が関に。終にはその名をとめなば兄弟。親孝行の。ためしにならん。嬉しさよ。

 

 

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