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加茂(かも)

【分類】初番目物 (脇能)

【作者】金春禅竹

【主人公】前シテ:水汲女、後シテ:別雷の神

【あらすじ】(仕舞の部分は下線部です。)

播州(兵庫県)の室の明神と都の加茂明神とは御一体であるというので、室の明神に使える神職が都へ上り、加茂の社に参詣します。すると、その川辺に新しい壇が築かれ、白木綿に白羽の矢が立ててあります。それを見て、不審に思い、ちょうどそこへ水を汲みにやって来た二人の女に尋ねます。女は「昔、この里に住んでいた秦の氏女が、朝夕この川の水を汲んで、神に手向けた。ある時、川上から白羽の矢が流れてきて水桶に止まったので、持ち帰って家の軒にさしておくと懐胎して男子を産んだ。この子と母、そして白羽の矢で示された別雷〔わけいかづち〕の神を加茂三社の神というのです」と、加茂三社の縁起を語ります。続いて、水を汲みながら川に因んだ歌をひき、その流れの趣を語り、やがて自分が神であることをほのめかして消え失せます。

<中入>

しばらくして、女体の御祖神〔みおやのしん〕が姿を現して舞をまい、続いて別雷の神が出現して、国土を守護する神徳を説き、猛々しい神威を示した後、御祖神は糺の森へ、別雷の神は虚空へと飛び去っていきます。

【詞章】(仕舞の部分の抜粋です。)

風雨随時の御空の雲居。風雨随時の御空の雲居。別雷の雲霧をうがち。光稲妻の稲葉の露にも。宿る程だに鳴る雷の。雨を起して降りくる足音は。ほろほろ。ほろほろとどろとどろと踏みとどろかす。鳴神の鼓の。時もいたれば五穀成就も国土を守護し。治まる時にはこの神徳と。威光を現わしおわしませば。御祖の神は。糺の盛に。飛び去り飛び去り入らせたまえばなお立ちそうや雲霧を。別雷の。神も天路によじのぼり。神も天路によじのぼって。虚空にあがらせ給いけり。

 

 

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