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岩船(いわふね)

【分類】初番目物 (脇能)

【作者】不詳

【主人公】前シテ:童子、後シテ:龍神

【あらすじ】(仕舞の部分は下線部です。独吟(ロンギ)の部分は斜体です。)

時の帝が摂津国(大阪府)住吉の浦に、新たに浜の市を開き、高麗や唐土の宝物を買い取るようにとの宣旨を下されます。そこで、命を受けた勅使が住吉へ下向します。すると、そこへ姿は唐人ながら、日本語を話す一人の童子が、銀盤に宝珠を乗せて現れます。勅使が不審に思って問いかけると、童子はめでたい御代を寿いで来たと告げ、また、この宝珠も君に捧げたい、龍女の珠とでも思っていただければありがたいと言います。そして、住吉の浜に立ついろいろな市のことなどを語ります。また、このあたりの景色をめで、さらに天がこのめでたい代をたたえて、極楽の宝物を降らすために、岩船に積み、今、ここへ漕ぎ寄せるところだと言います。そして、自分こそは、その岩船を漕ぐ天ノ探女であると明かして消え失せます。

<中入>

続いて、海中に住む龍神が、宝を積んだ岩船を守護するために現れます。そして、龍神は八大龍王達も呼び寄せ、力を合わせて岩船の綱手を引き寄せ、住吉の岸に無事に到着させます。山のように積まれた金銀珠玉は、御代の栄を寿ぐように光輝きます。

 

【詞章】(仕舞の部分(キリ)と独吟(ロンギ)の部分の抜粋です。)

〔ロンギ〕

千代までと聞こうる市の.数々に。聞こうる市の数々に。四方の門辺に人さわぐ。住吉の浜の市。宝の数を売るとかや。春の夜の一時の。千金をなすとても。例えはあらじ住吉の。松風値なし。金銀珠玉いかばかり。千顆万顆の玉衣の。浦は津守の宮柱。立つ市やかた数々に。まがきも続く片そぎの。み戸しろ錦綾衣。頃も秋立つ夕月の。影に向こうや淡路潟。絵島が磯は斜めにて。松の木間行く捨小舟。寄るか。出づるか。住吉の。岸打つ浪はぼうぼうたり松吹く風はせっせっとして。ささめごとかくやらん。その四つの緒の音を聞きし.潯陽の江と申すとも。これにはよも増さじ.面白の浦のけしきや。

〔キリ〕

宝をよする波の鼓。拍子を揃えてえいやえいや。えいさらえいさ。引けや岩船。天の探女か。波の腰鼓。ていとうの拍子を。打つなりやさざら波、えめぐりめぐりて住吉の松の風。吹き寄せやえいさ。えいさらえいさと。押すや唐艪の。押すや唐艪の潮も満ち来る。波にのって。八大龍王は。海上に飛行し。御船の綱手を手に繰りからまき。潮にひ引かれ。波にのって。長居もめでたき住吉の岸に。宝の御船を着け納め。数も数万の捧げ物。運び出だすや心のごとく。金銀珠玉は降り満ちて。山のごとくに津守の浦の。君を守りの神は千代まで。栄うる御代とぞ.なりにける。

 

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