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氷室(ひむろ)

【分類】初番目物(脇能)

【作者】不詳

【主人公】前シテ:老人、後シテ:氷室明神

【あらすじ】(舞囃子の部分は、下線部です。仕舞の部分は斜体です。)

亀山院の臣下が従者を連れて、丹後国(京都府)九世戸から都に帰る途中に、丹波路の氷室山を通りかかります。すると老人が連れのものと共に氷室山の景色について話しています。臣下の求めに応じて、老人は氷室の起源やその場所を教え、氷室の供御の威徳や御調物としての氷のすばらしさを語ります。さらに、氷室守護の神事を見るように勧めて氷室の中に消えてしまいます。

<中入>

氷室明神の社人が仲間と共に雪乞いをして雪を丸め、氷室明神に納めます。すると、天女が現れ舞をまい始めます。また、老人の消えた氷室の中から氷室明神が姿を現します。氷室明神は氷とその供御調物を守護し、祝福します。

 【詞章】舞囃子の部分の抜粋です。仕舞の部分は下線部です。

谷風水辺冴え凍りて。谷風水辺冴え凍りて。月も燿く氷の面。万境をうつす。鏡の如く。晴嵐梢を吹き払つて。蔭も木深き谷の戸に。雪はしぶき。霰は横ぎりて。岩もる水もさざれ石の。深井の氷に閉ぢ付けらるるを。引き放し引き放し。浮び出でたる氷室の神風。あら寒や。冷やかや。

<舞働>

かしこき君のみつぎなれや。かしこき君のみつぎなれや。波を治むるも氷。水をしずむるも氷の.日に添い月に行き。年を待ちたる氷のものの備え。備え給えや。備え給えと采女の舞の。雪をめぐらす小忌衣の。袂に添えて.薄氷を。碎くな砕くな。とかすなとかすなと氷室の神は。氷を守護し。日影を隔て。寒水をそそぎ。清風を吹かして。花の都へ雪をわけ。雲をしのぎて北山の。すわや都も見えたり見えたり.急げや急げ氷のものを。備うる所も愛宕の郡。捧ぐる供御も日の本の君に。みつぎものこそ。めでたけれ。

 

 

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