演目の紹介                    →「演目の一覧」に戻る

半蔀(はしとみ)

【分類】三番目物 (鬘物)

【作者】内藤藤左衛門

【主人公】前シテ:里の女、後シテ:夕顔の女の霊

【あらすじ】(仕舞の部分は下線部です。

京の都の紫野雲林院の僧が、90日にわたる夏の修行も終わりが近づいたなったので、修行の間に仏に供えた花々の供養を行います。すると、白い花が開いたかのように、どこからともなく一人の女が現れて、花を捧げます。僧が女に名を尋ねると、ただ夕顔の花と答えるだけで、その名を明かしません。僧がさらに問いただすと、五条あたりの者とだけ言って、活けられた花の陰に消え失せてしまいます。

<中入>

僧が不思議な思いをしていると、ちょうどそのあたりの者がやって来て、光源氏と夕顔の物語を聞かせ、その女性は夕顔の幽霊であろうと述べて、僧に五条あたりへ弔いに行くことを勧めます。僧が五条あたりを訪ねてみると、荒れ果てた一軒の家に、夕顔の花が咲いています。僧が、夕陽が落ち、月がさし込むこの家の風情を眺め、『源氏物語』昔を偲んでいると、半蔀を押し上げて、一人の女性が現れます。女は、光源氏と夕顔の花の縁で歌を取り交わし、契りを結んだ楽しい恋の思い出を物語り、舞を舞います。そして、夜明けを告げる鐘と共に僧に別れを告げ、また半蔀の中へ消えてしまいます。しかし、そのすべては僧の夢の中のことでした。

【詞章】(仕舞の部分の抜粋です。)

折りてこそ。それかとも見め。たそかれに。ほのぼの見えし.花の夕顔.花の夕顔.花の夕顔。終の宿りは知らせ申しつ。常には弔らい。おわしませと。木綿附の鳥の音。鐘もしきりに。告げわたる東雲。あさまにもなりぬべき。明けぬ先にと夕顔の宿り。明けぬ先にと夕顔の宿りの。また半蔀の内に入りて.そのまま夢とぞ.なりにける。

 

 

[ ホーム ] [ 能のミニ知識 ] [ 能の演目の紹介 ]