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船橋(ふなばし)

【分類】四・五番目物(執心物)

【作者】世阿弥(古能を改作)

【主人公】前シテ:里の男(直面)、後シテ:男の霊(怪士)

【あらすじ】(仕舞の部分は下線部です。)  

熊野三山で修行した山伏たちが、上野国(群馬県)佐野の里に着くと、里の男と女が橋を渡そうとしており、山伏に勧進を求めます。そして、ここは昔男女が恋い焦がれながら川に沈んだ場所であると、万葉集の歌を引き合いに出し、二人を救うためにも橋を架けたいと言い、役行者と引き合いに出し、勧進を迫ります。山伏が万葉集の歌の意味を尋ねると、男は、昔ここに住むある男が、川をへだてた向こうに住む女に憧れて、毎夜船橋を渡って通っていたが、それを良く思わない二人の親が橋の板をとりはずしたために、男は川に落ちてしまい、そのまま亡くなり地獄で苦しんでいると話します。そして、男女は、自分達こそその二人の霊だと明かし、夕暮の鐘の響く頃、姿を消してしまいます。

<中入>

山伏たちが男女の霊を弔っていると、二人は在りし日の姿で現れ、地獄の苦しみを訴え、弔いに感謝します。男の霊はかつての所業を懺悔のために昔の有様を見せようと言い、在りし日の姿を再現して見せ、仏法の力で救われたと言って消えていきます。

【詞章】 (仕舞の部分の抜粋です。)

よいよいに。通い馴れたる。船橋の。さえわたる夜の。月もなかばに。更けしずまりて。人もねにふし。丑三つ寒き。河風もいとわじ。逢瀬の向いの。岸に見えたる。人影はそれか。こころうれしや。たのもしや。たがいにそれぞと。見みえし中の。たがいにそれぞと。みみえしなかの。橋をへだてて。立ちくる波の。よりはの橋か。かささぎの。ゆきあいの間ぢかく。なりゆくままに。放せる板間を。踏みはずし。かっぱと落ちて。沈みけり。親し.さくれば。いもにあわぬかも。執心の鬼となって。執心の鬼となって。ともに三途の河橋の。橋ばしらに立てられて。悪龍の餌じきにかわり。ほどなく生死娑婆の妄執。邪婬の悪鬼となって。我と身を責め苦患に沈むを行者の法味功力により真如.発心の玉はしの真如発心の玉橋の浮かめる身とぞなりにける。うかめる身とぞ.なりにける。

 

 

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