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竹生島(ちくぶしま)

【分類】初番目物 (脇能)

【作者】金春禅竹

【主人公】前シテ:漁翁、後シテ:龍神

【あらすじ】(舞囃子の部分は下線部です。仕舞の部分は斜体の部分です。)

延喜帝(醍醐天皇)に仕える朝臣が、竹生島明神に参詣を志し、琵琶湖畔までやって来ます。丁度、老人が若い女をともなって釣舟を出しているので、それに、声をかけて便船をたのみます。老人は快く彼を舟に乗せ、のどかな浦々の春景色を楽しみながら、竹生島に向かいます。竹生島に到着すると、老人は朝臣を神前に案内します。朝臣は、つれの女も一緒に来るので、この島は女人禁制と聞いているがと、不審がると、老人と女は、弁才天は女性の神であるから、女人を分け隔てはしないと、こもごもこの島の明神の由来を語ります。やがて二人の者は、実は人間ではないといって、若い女は社殿の扉の内に入り、老人は波間にその姿を消します。

<中入>

そのあと、弁才天の社人が出て、朝臣に宝物を見せます。そうしているうちに、社殿が鳴動し、光輝き、音楽も聞えたと思うと弁才天が出現し、舞を舞います。続いて湖上が波立つと見るや、龍神が水中より現れて、朝臣に金銀珠玉の玉を捧げ、激しい舞を見せます。そして、弁才天と龍神とは仏が衆生を救うための二つの形であるといい、国土鎮護を約束し、弁才天は再び社殿に入り、龍神は湖水へと飛んで入ります。

【詞章】(舞囃子の部分の抜粋です。仕舞の部分は下線部です。)

夜遊の舞楽も時すぎて。夜遊の舞楽も時すぎて。月もかかやく海づらに。波風しきりに鳴動して。下界の龍神。顕れたり。

早笛〕

龍神湖上に出現して。龍神湖上に出現して。光もかかやく金銀珠玉を.かのまれ人に。捧ぐるけしき。ありがたかりける。奇特かな。

<働>

もとより衆生済度の誓。もとより衆生済度の誓。さまざまなれば。あるいは天女の形を現じ。有縁の衆生の願をかなえ。または下界の竜神となつて。国土を守る。誓を現わし。天女は宮中に入らせ給えば。竜神は湖水の上にかけって。波を蹴たて。水を返して天地に群がる大蛇の形。天地に群がる大蛇のかたちは。竜宮に飛んでぞ.入りにける。

 

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